お見合いの達人
「店長来てますよ」

「え?」


そこにはお気楽な笑顔で、

毎日のようにやってくる男。

「トシロー……あんたまた来たの?」

「そりゃあ来るよ、姫のお迎えはナイトの務めですから」

「ナイトって……まだ帰れないから」

「待ってるよいつものことだろ?」

「あんただって仕込みやっとかないとお父さんに怒られちゃうから」

「大丈夫、もう済ませたから。

ちゃんと日々学習してるんだから、

それにバイトやめたら暇で暇でさあ」


「店長帰っていいですよ?

もう大方片付いたし、

後はバイトさんと副店長のこの私にお任せを!」


「副……そうねお願いするわ、次期店長さん!」

「はい!お任せください」


バイトだったミーコちゃんとこ小暮皇女【こぐれみこと】ちゃんは、

カフェと分離を機に副店長として採用され私の補佐になり、次期店長として修業中。

私がここで店長として働くのはもう一度文具の店舗として動きだし軌道に乗るまで。

期限も3カ月と区切られ後ひと月を切っている。

そこで私はすっぱりとここの会社を辞めるのだ。

区切りをつけて会社を辞めることもあの時飛行機の中できめたことの一つ。


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