お見合いの達人
………………


私はずっと求めている。

あの刺激を。


アレから何度も座禅会には出席していたが、

あの時に感じた何とも言えない刺激にはで会えない。


アレはなんだったのだろう。


そんな刺激を探す毎日の中、

彼女もでき、

性的な刺激に触れる機会はあったのだが、

確かに一時的に満たされはしても、

決して長くは続かずに、

大抵は彼女の方から、つまらない男だと烙印されそのままフェイドアウトされてしまう。

私も、自分でもよくわからない欠けている何かをいつも求めてはいても、

それがその人からもたらされることは無いのだと、

引き留めることもしなかった。



あの座禅会の時の様な刺激を与えてくれるものはこれから見つかるのだろうか？

そんな模索を繰り返す中で、


大学を卒業した。


寺の方でも後継者を無理やり取りあげてしまうと言う後ろめたさもあるのだろう、

３０ぐらいまでそちらで過ごして構わないと言ってきたのをいいことに、

親たちは、それならばと、会社を手伝いをする様にと私のポストを準備してくれた。

いっそうやむやになってそのまま残ってくれたらと話しているのをこの間聞いてしまったのだが

自分とすれば、あの座禅会の様な刺激がもしかしたらあそこに待っているかもしれないと言う気持ちもあり、

そちらに早く行きたいと心待ちにしていただけに、

少々がっかりした。




< 192 / 198 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop