お見合いの達人
どんなに二日酔いでも、

憂鬱でも

動き出す日常。


「日曜は大変だったんですよ!

 贈り物に使いたいって、

 ボールペン一本ずつ包装しなくちゃならなくて、

 その上、今人気のお化けねこみゃんの

 グッズの発売日で!」


バイトのミーコちゃんが、

キャンキャンと子犬みたいだ。

何気に昨日の私の不在を責める。

「確かヘルプで、本社から浜木さんが来てくれたんじゃない?」

「え~あの人何気に、陰ですぐさぼるから、
 
 全然使えないんですよ。

 いないよりはましって感じです。」


はははと笑うしかない。

確かに、彼女は私より2歳上で、

上手い立ち回りで本社に残ってはいるけど、

本社でももて余されてるらしい。

店舗のヘルプ要員としてしか使えないなんて話が聞こえていた。

まあ、飛ばされた私が言うのはなんだけど、


「ミーコちゃん、でももし私が辞めたら、

 暫くはきっと浜木さんが店長になるんだと思うよ?」


「ぎゃあ、マジですか、それなら私バイトやめますよ?

 店長がいるからこの店でもやっていけるんですからあたし」


何処までが本心かは別として、

そう言ってくれるのは嬉しいものだ。


「さあ、もう時間よ、

 開店準備急ぎましょう?」


私たちはクリーナーを片づけながら、

製品の入っていた段ボールをバックヤードに運び出した。
















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