お見合いの達人
「あら?」

暇そうに髪をいじりながら、

カタログをペラペラめくっている受付は

この間、ヘルプに入ってもらった浜木董子だ。

(ここは心の声だから呼び捨てで)

いいのかあんたはそんな態度で?

だからあんたは使えね~んだよ。


そう突っ込みたい気持ちを抑えつつ、

「先日はヘルプありがとうございました」

と、頭を下げた。

「ああ、いいのよ仕事ですもの。

 だけど、あなたも大変ね、あの使えないバイトの子

 何とかならないの?」


「はあ、それはすみません」


あんたより百倍もましですけど?

視線をそらさないと、つい心の声が漏れそうになってしまう。


「春日さん今日は何の用なの?」


「部長に呼ばれました」


「あらホントだ、予定表にメモしてあったわ

 春日さんあんまりこっちにご無沙汰だから、

 すっかり忘れてたわごめんなさい。」


浜木はそう言ってくすくすと笑った。



どうせあ私は飛ばされたわよ。

だけどね明日は我が身だということを

認識すべきね?

見てなさい、もうじき私は寿退社して、

あそこの店長にはあなたがなる羽目になるんだから。

万年人手不足で、ノルマに追われて、

サービス残業の泥沼地獄よ。









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