お見合いの達人
「失礼します」
浜木董子がコーヒーを見覚えのある紙のカップに入れて運んできた。
知らないうちに本社はコーヒーを外注するようになったの?
贅沢すぎ。
「お、待っていたよ。
さ、春日君これ飲んでみてくれ」
「あ、はい。いただきます」
「どうだ」
「え?あ、はい美味しいです
でも、これが何か?」
「君は知らないかな?ステイショナリーカフェ」
「ああ、文房具カフェですか?表参道の。
結構人気ですよね。
それが何か?」
「あ、そう、そうそれだよ。
ハンドーなんかも原宿に出すって話もあるくらい注目されてるって話じゃないか。
ウチもせっかく売り場を広げるならその路線をってことで考えているんだ」
「はあ」
「だから、君のとこにだよその文房具カフェを作るって言ってるんだよ、
判らんかな?」
部長はまるで自分がその文房具カフェのオーナー気取りだけど、
ウチとはだいぶテイストが違うっていうの分かって言ってるのかな?
「なんだ?」
「いえ、いえ。それは素晴らしいですね」
「だろう?そこでだ、
君に今飲んでもらったようなカフェのチェーン店の共同出店を
と考えているわけだ」
さっきどこかで見た紙コップだと思ったらそっか。
「これ、MIDORIカフェの?」
「そうそう、そこのだ」
「良く行くんです。」
「入れたのは浜木くんだが、
なかなかだろう?」