お見合いの達人
「どんな夢見てたんだろ」


私の中に父がまだいるんだってことが、

不思議で、ちょっと嬉しかった。


「なんて幸せそうな顔してんだよ。」


男の声でふっと戻された現実。


「何よ、別にいいでしょ自分の家でどうしようと」


「悪くはない。

 でも、なんかむかつく」


テーブルに向かいで座りながら両手を組んで、

上目使いで見る男にちょっとキュンとする。



ばかばかしい。

これだから私はダメなんだ。

頭を振って余計な煩悩をふり払う


「あ、あんたには関係ないでしょ、

 もう遅いから私は寝るわ。

 毛布貸すからソファー使いなさいね」

「もうかよ?

 飲もうぜ、さっきビールとか買ってきただろう?」

「ご勝手にどうぞ」

ベッドルームに入ってカチャリと鍵を掛けた。

良かった古いけど、

1LDKにしておいて

今度一緒の部屋に寝たりしたら、

今度こそ間違いが起きる。

大体何であいつは私の家にいるのよ。


浅いとか説教までして、

とにかくもう疲れた。


明日早々に出て行ってもらおう



あ、お風呂はいらなきゃ、


お化粧も落としてない、


ああ、

でも、

もう

……ダメ……



私はそのまま眠りのそこに落ちて行った。






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