お見合いの達人
半分個室になっている、

居酒屋チェーン店にはいって座った。

最近、格安のランチを出すと割と人気の店だ。

卓上のタブレットメニューから、

人気の金ランチなるものを二つ注文した。

一度食べてみたかったんだ。

席に深く腰掛けると、

彼は、待ち構えたように口を開いた。

「弟とケンカしまして」


「はあ」


「あなたのところにいるんでしょうか?」


「え?」


「あの、それはどういう」


「あいつが頼れる人間なんてそういないので、

 もしかしたらと思いまして」


「ええと……」


「あの日二人で飲んだそうですね。

 あいつすっかりあなたのこと気にってたみたいでしたよ。

 いいんです。

 別にそうであればそれで」


「あの、それを聞くために今日は会いたいと?」











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