お見合いの達人
カキーン


わあ~


ライトー…


……


「あの、大将?」


「なんだ?」


「私、何のためにここにいるんでしたっけ?」


「なんでって、そりゃあ、見合いだろう?」

「ですよね?

 でもさっきから、

 ここにいるのは、

 大将と順子さんとあたしだけですよね?」


「そりゃあ、そうだ、

 俊坊はあそこでメガホン降って怒鳴ってる男だから。」

「?じゃあ、なんのためにあたしはここに座ってなきゃならないの?」


「あ、ああ、悪いなあ。昨日の雨で、試合が順延になって、

 あと30分もあったら試合も終わるだろうからここで待とうじゃないか。」


「それ、最初に言ってほしかったですけど?」

「そうか?そうだったな、悪い悪い。まあ、気にすんな、

 狭い日本そんなに急いで何処へ行くって言うだろう?」

がはははっ

と、馬鹿笑いする大将の首にチョップをくれたくなるのを、

ぐっとおさえた。

となりに座る順子さんが、

私の殺気に気づきハラハラとこっちを見ていたから。

チッ、命拾いしたな馬鹿オヤジ

尊敬しているってのはもう撤回じゃ。

 


< 7 / 198 >

この作品をシェア

pagetop