お見合いの達人
ワイワイと人が集まってきて関がだいぶ埋まり始めた。

照明が落とされ、

スクリーンに映し出される、

ブライダルCM

式場、コンサルタント会社、教会、雑誌、旅行、不動産

大画面で映し出されるそれらは、

待っているのに退屈させず、
しかも繰り返し流すことですりこめるという一挙両得な演出!

やるな。


それにしてもこのパーティはだいぶいろんな所が協賛されてるみたい。


結構大がかりだね。


「どうぞ」

どこかへ行ったと思ってきた永輝さんがグラスを手に戻ってきた。


ピンク色の液体はシュワシュワと音を出して

目の前ではじけた。


「シャンパンですか」


「アルコール大丈夫ですか?」


「あ、はい」


「よかった、では二人の出会いに乾杯しませんか?」


「出会いって」


顔見知りですが?


「だってきっとこんなことなかったら、

 挨拶だけの関係ですよ僕たち」


「そうですね」


お互い笑いあってチンと小さくグラスを合わせた。


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