お見合いの達人
壁の花。

こんな言葉自分のためにあるなんて思ってもいなかった。


私って肉食系じゃないから、


こういう時消極的なんだなってつくづく思う。

永輝さんはさすがイケメンとあってさっそく肉食女子の餌食に……

いやいや、イケてる女子に連れて行かれてしまった。


何人かの男の人と話をしたけれど、


まあ、あたりさわりない話をしているうちに、

これまたいかにも過剰装飾って感じの女性たちが、

つれ去っていった。


かといって追いかけるってほどの男性とも思えず、

結局こういうことに。


「あ、ビンゴ……」


ぼんやりしながらビンゴカードに穴を開けたら、

いつの間にかビンゴになってることに気がつかなかった。


「え?マジ」


私のカードを覗きこんできたのは、

となりに同じように壁に寄り掛かってビンゴに参加していた人。



「え?」


グイっと手が引っ張られ前に連れて行かれた。


「運営さん!この人ビンゴ!ビンゴだって!!」


「あ、ちょっと……」


つまらなそうに参加していた私が、

やる気満々でビンゴしてたみたいじゃない……っ

となりに同じように壁に寄り掛かってビンゴに参加してた人がいたんだ?


恥ずかしくってとりま、手に持ったパンフで顔を隠した。



『おめでとうございます!

 一番の方は、

3回拍手して

『う~っビンゴ』って掛け声で決めポーズお願いします』




「えっ無理ですっ」



『ええ?困りましたね、

 賞品の商品券次の方のものになってしまいますよ?

 あ、一緒の方にぜひご一緒にやって頂いたらどうですか』



「は?一緒の?」


振り返るとにっこりと笑ったわたしの手を引っ張ってきた人。


「いいですよ!やりましょう!


 ええとるなさん?

 やっちゃいましょう。


 どえせ、みんな見ちゃいませんから、ね?」



思わず頷いてしまったけど……




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