お見合いの達人




嘘ばっかり……


けど、10万……やるしかない。



大きなファンファーレの後

ドラムが鳴らされ、

『ビンゴ一番!26番るなさんです。


 さあ、この嬉しさを体で表現して貰いましょう』


し~ん


みんな見てるじゃん。


『大丈夫です。一緒に恥かきましょ?』

そう彼は耳元で囁いた。

ひゃあっ


背中にぴりっと衝撃走る

わたしって耳弱かったんだ?




結局、

恥を忘れて十万をとる。

3回まわってワン


……じゃなくて、


3回拍手で


「「う~ビンゴ!」」


見ず知らずの人と思いっきりガッツポーズやってしまった。

『おお!』

とどよめき、拍手、笑いも聞こえる。



あああぁぁぁ


もう穴があったら入るって感じだ。


向けられたマイクに。


「ありがとうございます」


そう一言うと、そそくさとまた壁の花に戻ろうと隅を目指す。


「るなさん」

ああ、そうだった。


お礼も言ってない。

一緒に恥をかいてくれた彼。

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