お見合いの達人



「るなさん」

たった今共に戦った戦友。


「あ、さっきはありがとうございました。

 ええと……」


「奏(かなで)です。

 あ、本名です一応」


「奏さんファーストネーム?」


「ああ、名前です。」

「素敵な名前ですね」


「はは、どうも、両親がクラシック好きでして」


「そうなんですか。

 あの、もしよかったら、商品券半分づつにしません?」

「え?あ、いやそれは君のものだから」


「でも、私あなたがいなかったら流しちゃうとこだったし」


そう、多分一人なら得られなかったもの。


それに一人占めは気が引ける。


わたしが困った顔をしてると、


「じゃあ。この後なんか驕ってくださいよ」


そう言ってにこりと笑った。


なんて言うかジワリと胸にしみる笑顔のこの人。


決してイケメンじゃないけど、

すごく好青年だ。



うん、クラスにいるフツメンだけど何故かもてる。


合宿とかで、『実はわたし誰誰が好きなんだよね』なんて告白大会をすると、

何故か複数か名前が上がっちゃうみたいな、

隠れモテ男ってこのタイプだったと思う。







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