お見合いの達人
出口で、イベントスタッフに、ネームタグを返して、外へ出る。


モールの方はもうすっかり閑散としていて、

本当なら、帰りに店舗に寄りクローズを手伝いたいところだが、

早番なのだから、

仕事のことは忘れることにした。


思えば、私は早番でも、気になって顔を出したり、

余計な気を遣いすぎなんだ。


「どこにしましょうか?」


「もう、遅いし、ファミレスか、居酒屋ですかね?」


さっきエスカレーターのわきの時計が10時近かった。


「どっち道、もうパーティ終わる時間だったんですね」

わたしの言葉に、

「さっきの『カップル成立おめでとうございます』

 って言われちゃいましたね」

といってくすくすっと笑った。


「ビンゴカップルですね」


「はは、そうそう、

 もう2度としませんよね。


 なんでしょうねあの決めポーズ。

 運営の人考えたのかな」


「センスなさすぎ~」


「いやいや、ありすぎでしょ」


「え~」


なんかいい感じ。

婚活始めて、初めてかもしれない。

なんだろうマイナスな気持ちにならないで男の人と話したのって。












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