お見合いの達人
「ファミレスならここの近くにもあるし、

 駅前にもありますけど、どこへ行きましょうか?」


「ええとそうですね。折角あなたといるのにファミレスじゃなあ。

俺の知ってる店でいいですか?」


「あ、はい。もちろんです。連れて行ってください。」


いわゆるお持ち帰り状態に顔がゆるむ。

ミーコちゃんありがとう。


三十路最後の花が咲きそうよ♡


彼の後ろを歩くわたしを振りかえり、

歩幅を合わせさりげなく隣を歩く彼に、

年甲斐もなくキュンキュンした。



「るなさん!」


後ろから追いかけてくる焦った声に、


振り返る。


「永輝さん?」


「ビンゴの後姿を探したらいなくて、

 受付で確認したら、タグが返却されてて、

 追いかけてきたんです!」


「そ、そうなんですか御挨拶しなくて済みませんでした」


< 82 / 198 >

この作品をシェア

pagetop