お見合いの達人
なんだか嬉しくないけど、

まあ。確かに結婚相手は手に入らなかったけど、ある意味副産物だ。

「10万かあ、何に使おうかな。

 こういう、汗流さずに手に入れたお金は、

 さっさと使わないと、

 その後お金に縁が無くなるって聞いたことがある」

「それって、ことわざですよね、

 なんとかなお金は身につかない」

「『悪銭身につかず』かな?若干意味は違うけど」

「そうそう、それです!」

「けど、有効利用しなきゃね。

 とりあえず、これでご飯でも食べようか?」


「はい!さすが店長ケチじゃない。」


「はいはい。」


開店準備の放送が流れはっとした。


さっきから話しこんで、開店準備が間に合わない。


 「そろそろ開店だよ。お楽しみは、その後ね。」


「はーい」



2人でバックヤードから出て、

商品にかけてある布を回収し、

シャッターを店舗わきの壁に収納する。


手分けして、

中にしまい込んであるスタンドやポップアップを表に出した。


よかった。

なんとか、間に合いそう。

一呼吸入れて

ダスターを片手に陳列台を磨き始めた。



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