お見合いの達人
「すみません、お待たせしちゃて」

「いえいえ、好きな人なら、待つのも楽しいです。」

「なんだか、てれますね」

「はは、俺もです。
 今日は連れて行きたいところがあるんです」


「え~、どこですか?」


蓮沼さんは、とびきり甘い笑顔で、

「俺を知ってもらうためにどうしても見てほしいものなんです」

と返事をした。


でも、なんだかその笑顔の後ろで何かがありそうで、

どきりとした。


「な、なんだかドキドキするなあ」


「素敵なところですよ」

蓮沼さんはツッと私の前に回り手を握った。


私がとっさに手を退こうとすると、

それを阻止するようにギュッと握りしめた。

「大丈夫です。心配することはありません。

 俺はあなたを幸せにしたいんですよ」

なんか、怖い。

私の心臓は必要以上に大きな音を立てて跳ねあがり、

背中には冷や汗が吹き出した。


私の第六感がやばい逃げろと警告しているようだった。












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