お見合いの達人
「おう!それくらいあんたが欲しいってことさ」


「は?

 言ってることが判らない。で?
何か買いに来たの?

ひやかし?」


「おう、客、と言いたいがネタ切れで、

 あんたの顔見に来た」

「だからお店来るのはっ」


「この間、隣町の駅前で男と歩いてるの見た。

 連絡先教えてよ。

 他の男と会う時間あるんだろ?なら俺にだって付き合ってよ」


「何言ってるのよ、何度も言ってるけどあなたの事は断ったはずでしょ?

 今更必要ない……」


あ、そういえば……

『まあ、何はともあれ、いわゆるモテ期なんじゃないかしら、

 奈留ちゃん、どうせなら今を楽しんじゃったら?』


順子さんに言われてことがふと思い浮かんで、思わず口を噤んだ。
< 97 / 198 >

この作品をシェア

pagetop