佐藤さんは甘くないっ!
なんだろう……なんだろう……!!
すっごくもやもやする!!!
不幸中の幸いというべきか今日も机の上には山積みの書類。
わたしがいる部署では開発を中心に行っているけど、それができるのは佐藤さんや宇佐野さんのような能力があるひとだけだ。
一応希望者はコンペにも参加できるけど、やはり実績のないひとは出たところで案を採用してもらえない。
だからそれ以外のひとは実質彼らのサポートを任されていると言っても過言ではない。
今部署の中で挙げられている案をわかりやすく纏めたり、会議用の資料を作成したりするのが主にわたしたちの仕事だ。
毎日開かれるミーティングで提案はどんどん膨らんでいく。
だから毎日毎日こうも仕事に追われていて、その代わり成果もそれだけ多く出ている。
開発部署はさらに3つに分かれていて、うちは断トツトップの成績をキープしているのだ。
それもこれも、佐藤さんと宇佐野さんが入社してからのことだって話だけど。
この第一開発部署は常時15人程度で構成されていて、新入社員の研修や出張などで増減する。
いわば宇佐野チームや佐藤チームみたいなものが暗黙の了解で存在していて、いつも大体チームで仕事をしている。
だけど佐藤さんはわたしが入社するまでずっと全部ひとりでこなしていたらしい。
仕事に触れさせるのは宇佐野さんと部長くらいで、他のひとには任せなかったことで有名だったと聞いたことがある。
チームでやっとの仕事をひとりで片付けていたなんて本当に恐ろしいひとだ。
その頃は毎日遅くまで残業していたのに、わたしが部下になってからは定時でオフィスから消えるようになったらしい。
少しは役に立てているのだろうか。
それから、どうしてわたしの担当になってくれたのだろうか。
気まぐれ?
でもそのお陰でわたしは仕事に目覚めることができたのだから気まぐれ万歳かもしれない。