佐藤さんは甘くないっ!
やっと一週間の折り返し地点がやってきた。
憂鬱さと気怠さと、あと半分で休みがやってくるという期待感がぐるぐると回る。
それとは関係なく朝からずっと頭がぼーっとしていた。
……正確には、昨夜から。
「柴先輩」
「っ、は、はい!!」
びっくりした。…びっくりした!
びっくりしすぎて変に大きな声を出してしまった。
慌てて振り返ると困ったような顔で笑う三神くんがいた。
目が合った瞬間、顔に熱が集まる。
「さっきから何度も呼んでたんですよ」
「え、ごめん!全然聞こえてなかった!」
色んな意味で恥ずかしくなって目を逸らした。
どうしよう、三神くんの顔がうまく見れない…。
「これ、入力終わりました。確認お願いします。」
「わ、わー早いね、あ、ありがとー」
何故かわたしの方がぎくしゃくしてしまい、言葉もカタコトになってしまう。
変だ、誰から見ても、どう考えても、わたしがおかしい。
挙動不審とかそういうレベルじゃない。
当の本人はこんなにけろっとしているっていうのに…。
泣きそうな気持ちになっていると、三神くんが少し屈んでわたしの耳に唇を寄せた。
「……あの、柴先輩。そんなに意識されると、さすがに照れます。」