佐藤さんは甘くないっ!
そして、どこまでもわたしを落とそうとする。
深い深い愛の底に引きずりこもうとする。
だけど嫌じゃないなんて、わたしはとっくに気付いていたのに。
「……優輝と会ったこともちゃんと話そう」
三神くんの一件でわたしはすっかり懲りていた。
佐藤さんに隠し事をするのは色んな意味で辛い。
いつも誠実な佐藤さんに少しでも向き合えるように、わたしも素直でいたい。
考えたら緊張は増すばかりだけど、早く会いたい気持ちに変わりはなかった。
「連絡したら迷惑かなぁ…」
今から帰る、とメールが来ない時点でまだ仕事中なんだと察することができる。
だけど……早く会いたいですって、伝えたい。
佐藤さんからしたら催促をされているような気持ちになるかもだけど…。
ううん…どうしよう…。
迷いに迷って、結局メールを送ることにした。
今日のわたしはいつもよりちょっとだけポジティブだ。
佐藤さんをどきどきさせたいと思って、少しの装飾を加えて送信ボタンを押した。
「お、送っちゃった…!」
緊張感から解放されて、思わずソファの上でごろごろとのた打ち回る。
…メールのひとつでこんなにどきどきしてたら、いざ佐藤さんに会ったら壊れちゃいそうだ。
瞼の奥には佐藤さんの姿が鮮明に映っている。
早く帰ってこないかなぁ…。