佐藤さんは甘くないっ!

チュン、チュン。

遠くで鳥のさえずりが聞こえた気がした。

確信はないけどなんとなく朝がやってきた感じがする。

ごろん。まだ寝ていたくて、ごろごろと寝返りを打つ。

あれ、なんかベッドの端が遠い。

こんなにわたしのベッド広かったっけ。

反対側にごろん。

ごつん。あれ、なんかにぶつかった。

なんだろ―――

薄目に見た視界、横たわるのは大きな背中。

……背中?

男のひとの?背中?

誰?え?ここどこだっけ?

あれ?



みかみ、くん?



「~~~っ!?!?!?」


文字通り飛び起きた。

眠気なんて一瞬で吹っ飛んでしまい、寧ろ目の前がチカチカしてきた。

飛び起きてまず服を確認する年齢になってしまったのが悲しい。

…セーフ。セーフ!

服は着ています!下着も着けています!セーフ!

ってそういう話じゃなくて。

なんで!なんで同じベッドに!

ここは三神くんのベッドなんだけど!いやでも!

それに昨日ご飯食べた後の記憶がない…!

わたし自分で歩いてここまで来たの?

だめだ何も思い出せない…。

夜ご飯を頂いたらこっそり帰ろうなんて思っていたはずなのに……本当に三神くんの家に泊まってしまった事実が重く圧し掛かる。

別に誰に咎められるわけでもない…ないけど……。

あああああ…と頭を抱えていたら、背を向けていた三神くんがこちらに寝返りを打った。

……あどけない寝顔が可愛いなんて決して思ってないんだから。
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