佐藤さんは甘くないっ!
ぼろぼろと涙を零していると、佐藤さんが優しく頭を撫でてくれた。
その優しさがまた傷に沁みて余計に涙が溢れてくる。
わたしの様子を伺いながら、佐藤さんは重たそうに口を開いた。
「……土曜の夜、最上からメールがあった。柴と別れろという内容だった。それで何があったのか察しがついたが、俺が招いた結果だと思うと……柴に会うのが怖かった」
佐藤さんも怖かった?
驚いて目を丸くすると、佐藤さんの緩やかに細められた双眸とぶつかった。
最上さんのメールがどんな内容だったのか想像がついてしまう。
……たぶん、わたしが言われたのと同じようなことだ。
「すぐにでも会いに行きたいのに……自分の所為で柴が傷付いたんだと思うと、なんて声を掛けたら良いのか解らなかった。でもそのあとすぐ……三神からメールが来たんだよ」
「み、三神くんから…?」
初めて聞く真相に思わず声が大きくなった。
佐藤さんは深刻そうな顔付きから一転、急にむすっとした表情になる。
あれ、と思う間もなく組み敷かれて唇を塞がれた。
荒々しく交わされる口付けで身体の奥がじんわりと熱を帯び始める。
佐藤さんは眉間にこれでもかと皺を寄せたまま呟いた。
「……馬鹿柴、あいつの名前に反応するな」
…その顔が可愛いなんて言ったら、もっとすごいことをされてしまいそうだ。