佐藤さんは甘くないっ!
太ももをいやらしい手付きで撫でられて、わたしの背中を何かが這い上がる。
物足りないと思ったことがばれてしまったのが恥ずかしくて、馨さんの顔は見えないのにきつく目を閉じた。
「郁巳、エロすぎ……可愛い」
「ん、ぅあっ、あん、っ…!」
わたしの気持ちなんて見透かされているように、指が一本から二本に、二本から三本に増やされる。
中で不意に指を曲げられると、予想外の快感が襲ってビクンッと足が跳ね上がる。
もはやくちゅくちゅなんて可愛い音じゃない。
ぐちゅぐちゅと粘り気のある音が、指の抜き差しに呼応する。
気持ち良すぎて、頭がおかしくなりそうだった。
指を増やされたのにまた物欲しくなり、今度は腰が揺れてしまう。
……どうしよう、もっと、……もっと欲しい、って思っちゃう。
何が欲しいなんて解りきってるけど、言えるわけがない。
そんな思考まで読まれているのか、タイミング良く愛撫の手が止まる。
息の上がったわたしの顔を見て、顔を上げた馨さんが満足そうににやりと笑った。
唾液じゃないものでテラテラと光る唇がいやらしくて、真っ直ぐ見ることができなかった。
「物欲しそうな顔してるとこ悪いけど……コンドームないからここまでな」
「~~~じゃっ、じゃあなんで触ったんですか!?」
「おお、それは触るなら最後までシてっておねだりか?」
「ち、ち、ちが、ちがいますよばかぁあああっ!!!」
くくっと肩を震わせて笑う馨さんがムカつくくらいかっこよかった。
ああもうずるい、ひどい、わたしばっかりどきどきして。
……さっきまで好き勝手にされていた場所がじんじんする。
熱が一向に冷めなくて、敗北感と悔しさでいっぱいになった。
大体……さっきの質問はぐらかされたし。