佐藤さんは甘くないっ!

じんわりと身体中が汗をかいていて、なんとも言えない倦怠感が嬉しいと感じてしまう。

ふと枕元の時計に目をやると、0時2分を指していた。

もう0時を過ぎたってことは金曜日じゃない。

つまり……土曜日?


「ああああああ!!」


汗を拭うセクシーな馨さんが肩を揺らしてびっくりするくらい大きな声を出してしまった。

わたしは動揺を隠せないまま、シーツにくるまって謎の叫び声を上げていた。

馨さんが不思議そうな顔をして隣に滑り込んでくる。

二人とも何も身に着けていないままで、急に恥ずかしくなってしまった。


「郁巳、どうした?」

「いや……あのっ………馨さんお誕生日おめでとうございます!!!!!」

「……あ、そうか、そうだな」


時計を一瞥し時刻を確認すると、馨さんは驚いた表情から無表情に戻った。

誕生日だというのに、当の本人はだからどうしたと言わんばかりの表情である。

しかし、わたしはすっかり忘れていたのだった。

最も重要な……誕生日プレゼントという存在を。


「馨さんごめんなさい……あの、プレゼント、まだなくて…」


申し訳なくて馨さんの顔を直視できなかった。

ばたばたしていたとはいえ、最重要イベントを忘れるなんて彼女失格だ……。

本気で涙ぐんでいると、馨さんにぽんぽん頭を撫でられた。


「なんだ、そんなことか」


……そんなこと、とは!?

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