佐藤さんは甘くないっ!
はぁ、と熱の籠った吐息が零れた。
頬を撫でていた手がするりと首筋に触れて、いやらしく撫で上げる。
ぞくぞくと何とも言えない刺激が襲ってきて勝手に身体が震えた。
普段は友達にくすぐられたって平気なのに。
全然効かないよ、なんて笑っていたのに。
佐藤さんの指が身体に触れるたび、くすっぐったいような、逃げ出したいような、甘い痺れに襲われる。
もっと触って欲しいような気がするのに、触られたら耐えられない気がして。
ただ触れられただけでこんな気持ちになるのに。
もしその指で、舌で、奥の方まで全てを暴かれてしまったら。
……わたしは一体どうなってしまうんだろう。
するすると無骨な指先が意思を持って下っていく。
もしかして、と思った矢先に、申し訳程度に膨らんだそれを優しく大きな掌で包まれた。
わたしの小さな胸は佐藤さんの掌にすっぽりと収まってしまう。
羞恥心を感じる暇もなくブラウスの上から中心をぐっと押しつぶされ、押し殺していた声が呆気なく唇を割ってでた。
「ん、っあ……」
……艶めかしい、女の声だった。
自分のこんな声を聞いたのはいつぶりだろう。
思い出そうと試みても過去の記憶はすっかり霞んでしまっている。
長らく恋愛から遠のいていたけれど、わたしにもまだ“女”は残っていたようだ。
そんな当たり前のことを真剣に考えていた―――次の瞬間。
べりっと効果音が聞こえてきそうな凄い勢いで、佐藤さんはわたしの身体を引き剥がした。