佐藤さんは甘くないっ!

「どこが?いつも酷い扱い受けてるけど」


意味が解らなくて眉根をぎゅいっと寄せて顰めっ面を作った。

そんなわたしの眉間を律香がぐりぐりと刺激してくる。

あだだ、地味に痛い。


「だって佐藤さんわたしたちにそんなことしないし、まぁいつも無愛想だけど」

「なにそれ!こんなところでも差別が起きてた!」

「どうしてそうなるの……柴のこと気に入ってるんじゃない?」

「ああ、下僕的な意味で気に入ってるってことね…はいはい…」


入社したときから佐藤さんがいる部署に配属された。

そのときから何故かわたしのことをやたらとパシリ扱いしてきた気がする。

腹が減っただの咽喉が渇いただの。

わたしは佐藤さんのお母さんじゃないんですけどね!

という言葉を何度も飲みこんであっという間に2年以上も経過していることに自分自身も驚いていた。


「佐藤さんはなんていうか…雲の上のひとみたいでさ」

「いつも上から物を言うしね」

「一般社員には手の届かない存在、って感じ」

「確かに身長高いから届かないかもね」


「…………柴、あんた、佐藤さんのこと嫌いなの?」


律香に問い掛けられて数秒考えた。

佐藤さんのこと仕事の面では本当に尊敬してるけど。

性格面がアウトすぎてプラマイゼロどころかぶっちぎってマイナスに突入してる。


「うん、嫌いかな」


少なくとも人間的には絶対無理。

あんなひと友達にもしたくない。

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