佐藤さんは甘くないっ!
そんなわたしの思考を見透かしたように律香が小さく笑った。
無意識のうちに殴られた痛みを想像して顔を歪めていたらしい…重症だ。
「あはは、佐藤さんにそんなこと聞けるひといないよねー」
「絶対無理だよね。他人に興味ありませんって顔してるし」
「そう?結構後輩の面倒見は良さそうだけど。柴のこと上手く扱ってるし」
「ちーがーうーのー!わたしの配慮とか仕事っぷりが良いだけ!」
「はいはい。そういうことにしとくわー」
…佐藤さんめ。
顔が良くて仕事ができるとすぐ持ち上げられるから羨ましい。
わたしだって頑張ってるのに…!
明日からまた一週間顔を突き合わせる横暴な上司のことを考えながら溜息を吐いた。
ケータイをいじっていた律香が、突然思い出したように手をぽんと叩いた。
「そうだ柴、来月合コンするからおいで!お相手は医者に消防士に…とりあえず色々!」
「…………行きたい、かも」
「ほんとに!?向こうも可愛い子連れて行ったら喜ぶよー」
にひひ、といたずらっ子のように笑う律香が眩しい。
合コンとか今まで一度も行ったことないけど、律香が一緒なら安心だ。
そこでいきなり彼氏を作ろうとか、そんな風に意気込むつもりはない。
だけど…たまにはそういう刺激も良いかもって。
「ずっと断られ続けてきたけど、やっと柴もその気になったかー♪」
「そ、そんなんじゃないけど…」
「けど?」