佐藤さんは甘くないっ!

にんまりと笑って、律香がわたしの顔を覗き込んでくる。

……恥ずかしいからそんな見ないでよ。

赤くなった頬を隠すように頬杖をついて窓の外に視線をやった。


「わたしは嬉しいけどなー。柴の恋ばなとか聞きたいもん」

「恋ばなにまで発展しないと思うけどね…困ったら律香先生に相談するわ」

「任せなさい!うふふー楽しみだなー♪」


合コンに行くって返事しただけなのに…もう脳内でわたしと誰かが付き合ってることにされていそうだ。

だけどそんな前向きで明るい、ちょっと暴走気味な律香が羨ましくなった。

……わたしはネガティブだし……今もどうせ彼氏なんてできないって思ってる。

もっと自分に自信を持てるようになりたい。

律香みたいに内側からきらきらが溢れるような、かっこいい女のひとになりたい。


自分を変える第一歩みたいな感じで合コンも頑張ってみようかな。

話すことは好きだし社交性はわりとある方だと思う。

あれから恋愛に対してどこか臆病になってしまった自分を変えたい。


「(別れることが怖いなんて……中学生みたいよね)」


永遠なんてないって、頭では解っているのに。

現実のわたしは25歳にもなって夢見がちなままだ。

だけどそんな理想を叶えてくれるひとが現れたらいいな、なんて。

まだ思っていても……良いかな。

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