佐藤さんは甘くないっ!

「合コンは来月の上旬の予定だから、また連絡するわ」

「うん、ありがと。楽しみにしてるね」

「その前に一緒に洋服見に行こ!柴の勝負服買わなきゃ!」

「勝負服なんていらないからー!」


けらけらと笑いながら、随分長居してしまったお気に入りのカフェを出た。

ふと何の気なしに空を見上げると重い灰色が立ち込めていた。

さっきまであんなに晴れ渡っていたのに、今はどんよりとしていていつ雨が降ってもおかしくない状況だ。

9月の気候は変わりやすくて過ごしにくい。

暑かったり寒かったりと忙しく体調管理も難しい時期だ。


「じゃあまた明日から仕事頑張ろうねー」

「うん!一週間長いけど乗り切ろ!」


ばいばーい、と手を振って律香と別れた。

方向が違うためひとり、帰路に着く。


「(……合コン、本当に楽しみになってきたな)」


このわくわくする感じは大学生ぶりかもしれない。

新しい出会い、新しい友達、……新しい恋愛。

……ちょっとお洋服覗いてみようかな。

まっすぐ家に帰るはずだったけど、時計を確認して進路を変えた。

そういえば秋らしいスカートが欲しかったんだよね、なんて言い訳を零しながら。


明日から月曜日だというのに、足取りはなんだか軽かった。

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