ただキミが欲しかった
また一粒涙が零れそうになったとき。
「わ、別れたくねーよ!」
真央がそう叫んだ。
「は?坂木くん何言ってるの!?」
「浮気したんじゃん!」
「藍原さんより奈々美の方が余裕で可愛いのに!」
すかさず友達から避難が入る。
早崎は、ただあたしの手を握ってくれていた。
………大丈夫。
浮気した真央に未練はもう残さない。
藍原さんはあたしに懇願する真央を唖然と見ていた。
「……ね、真央。浮気したって事はあたしより藍原さんのことが大切なんでしょ?」
「違う!!俺が好きなのは奈々美だ!」
必死にプライドを捨てて声を上げる真央。
「じゃ、なんで浮気したの?」
そんな真央を見ていると、だんだんと気持ちは冷めていった。
「……ただ、ヤらせてくれるって言ったから……」