ただキミが欲しかった
「っ、藍原!!なんで奈々美泣かせてるの!!」
ガシャーーーーンっ
という大きな音とともに、友達が藍原さんを責めだした。
「わ、私……。坂木くんに、彼女がいるなんて知らなくて………」
「学年1の美男美女カップルを知らないなんてありえないでしょ!!そもそも本当に坂木くんがあんたみたいな普通を相手にすると思ってたの!?結局ただのヤリ目だったじゃん!!」
「このアバズレ女!!あんたのせいで奈々美泣いてんの!あんたのせいで坂木くんも泣いたの!!幸せな二人を壊したの!!!」
「………ご、ごめんなさいっ」
「謝っても2人の関係は崩れたんだよ!!分かる!?」
「藍原さんさ、もう顔見せないで。クラスで一番権力ある奈々美の彼氏寝取ったの。最低」
ワンワン喚いているあたしと、ブチギレている友達、そして怯えている藍原さん。
ほんの数分前の楽しく遊ぶ予定を立てていた教室は。
今では変わり果てていた。