ただキミが欲しかった







外は既にオレンジ色に染まっていた。







「……みんな、ごめんね。ごたごたに巻き込んじゃって……」








無理矢理笑って友達にお礼を言う。








「なーに奈々美が謝ってんの!」






「無理して笑わなくていいよ!」






「そうそう。悪いのは藍原だし」










学年の中でも派手で、権力を持っている友達たち。






でもみんな友達思いで優しい子達。








また、止まっていたはずの涙が流れた。








「あー、奈々美泣かないで!」





「ちょ、どうにかして奈々美笑わせろよ!」




「え!?無理言わないでよ!」










「みんな……ありがとうっ」








「な、泣き止んで!うちら、奈々美のためなら何でもお安い御用だから!」





「そうそう!しばらくは彼氏なしでも、坂木くんのことなんて忘れて元気になろ!!」





「んもうこんな可愛い奈々美を預けれる男なんていない!…よし、私と付き合お!奈々美!」





「ヤメテ!奈々美が汚れる!」






「もう友情一筋でいこーぜ!」









「……みんながいればすぐに真央のことなんて忘れられそう」









「え、ならあたし頑張る!」




「何をだよ!」




「あーーー!じゃーさ、明日さ、みんなで傷心カラオケしないっ!?奈々美の為に私全力で歌うよ!!」





「お、いいねぇ!どっちみち遊ぶ予定だったから暇だし!」









このときあたしは、友達たちは本当に優しいなと思った。







暫くは、恋愛なんてやめて友達たちを大事にしようと誓った。








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