ただキミが欲しかった
そして次の日_______。
思っていたほど目も腫れておらず、真央との思い出のものを全部捨てて、さっぱりとした気持ちで待ち合わせ場所へと向かう事が出来た。
待ち合わせ時間の5分前につくと、既に全員そろっていたようだ。
今日遊ぶ人数はあたしをいれて7人。
カラオケ店の真正面を待ち合わせ場所としていたので、すぐにカラオケ店に入る。
誰かが事前に予約してくれていたため、待つこともなく部屋へ通された。
「さぁー!歌うぞーーー!」
あたしを励ましてくれるためか、みんないつもよりテンションが高い。
あたしは一番奥に座り、早崎がその隣に、目の前には香奈(かな)が座った。
そしてコントロールパネルをあたしに向けてくる友達たち。
「……あたしから歌うの?」
「「もっちろん!!」」
ははは…なんて苦笑いで、あたしが知ってる曲の中で一番明るくて盛り上がる曲を入れた。
「あーー!これ好きー!いい曲だよねー!」
そこそこ知られている曲なので、シケることなくちゃんとみんな盛り上がる。
いくら傷心カラオケって言っても、初っ端から泣けるような曲は選ばない。
そしてこの流れに乗って、みんなどんどん曲を入れていった。
「うまぁーーいっ!」
「あ!90点越えた!」
「ちょ、音痴は歌うなー!」
「これ踊ってみてよ!」
ざわざわ、がやがやと
すっごく盛り上がってる。
でも昨日の今日だからか。
あたしは表情は笑顔を作っても、少し心は置いて行かれている感じがした。
でもその時……。
フッと、曲の雰囲気が変わった。
気を使ってか、今まで誰も選ばなかったバラード曲。
マイクを持っているのは……隣にいる、早崎だ。
「……この曲、newshine(ニューシャイン)の?」
「え、これシン!?バラードなんてあったんだぁ…」
あたしも曲名は知らないけど、“newshine”通称シンと呼ばれているアイドルグループは知っている。
って言っても、グループ名しか知らなくて顔とメンバーの名前なんて一致しない。
それでもあたしが疎いだけで、ファンクラブ数がギネス突破したぁーとか、ライブのチケットの倍率がすんごい高いーとか、よくテレビにも出てるし、みんな友達も騒ぎまくってるし、今一番勢いのあるアイドルじゃないのかな。