ただキミが欲しかった
そして熱心にノートに書いていれば、いつの間にか授業は終わっていた。
「さ、奈々美ー。帰ろっ!」
すると早崎が荷物を持ってルンルンであたしの近くに来た。
「………え?」
「…え、じゃないでしょ!先生の話聞いてた?」
「……何か言ってた?」
「今日から保護者懇談始まるから、一時間だけで帰るんでしょ!」
……あ、そっか。
そう言えば朝に、一時間だけ学校に行く意味ってないのにーってお母さんに愚痴ってた。
ちなみにお母さんは今日あるらしい。
でも2者懇談だから、あたし関係ないもん。
思わず直ぐに帰れることにニンマリとして、机の上を片付け始めた。
「……あ。こら。奈々美!授業聞かずに何書いてるの」
「え、歌詞!シンすっごいかっこよくて、頭から離れない」
「え゛」
「やだー。冗談だって!」
………割と本気の面もあるけど、あんまり物事に打ち込んだことがないらしい早崎にドン引きされるから黙っておこう。
すると他の友達もわらわらと集まってくる。
「帰ろー!」
「私、今日先生から2者懇談じゃなくて3者懇談にするよう呼び出しくらってるから先に帰っててー」
「え、3者懇談とかマジドンマイ!」