ただキミが欲しかった






どうやら香奈はあんまり頭がよろしくないから3者懇談になってしまったらしい。






……でもあたしもぎりぎりだよね、と少し冷や汗をかいた。









「てかさ、聞いて!奈々美が不真面目になっていってる!」







「え、奈々美って真面目だったっけ?」





「ちょ、酷ーいっ」








「で、優香。なぜに奈々美が不真面目に!?」







そして早崎は見て見てーなんて言いながら、歌詞をビッチりと書いたノートを見せた。








「おぉ!奈々美すごいっ!」






「もうすっかりシンのファンだねー」





「もう勧めたウチラよりハマってんじゃない?」







あははーってみんな笑いながらも、それぞれの感想を口にする。








一瞬、早崎がノートをみんなに見せたことに焦ったけど、みんなの反応は思ったより良くてほっとした。







「本当にシンにハマっちゃった!今度ファンクラブに入ろうかなぁーなんて思っちゃってたりもする。今はいれば、次のコンサートに余裕で間に合うらしいし?」








「うわお。もう本格的だね!」






「コンサート、ファンクラブの会員にならないと当んないしねぇ」






「私もコンサート行きたいかも!…でも、お母さんにファンクラブ入っていいか聞かなきゃだぁ」








……あたしお母さんに内緒で入るつもりなんだけど。








正直家族には今まで微塵も興味がなかったアイドルを好きになったって言いにくい。






それにお金が年会費で5000円ほどかかるし、何か反対されそう。







まぁ親の許可何てとったことにすればいいし、申し込み手続きもあたし一人で出来る。








それに今はお財布がピンチだけど年間5000円ならなんとかなるし。









コンサートに当たっていくことになってから、少し怖いけど全部話す事にしよう。








だんだんとあたしのことから逸れていく話題に、適当に相槌を打ちながら考えた。










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