黄昏に香る音色 2
都市の中心地にあるビル。

周りに比べたら、大きくはないが、それでも、名前は有名だった。

Pーレコード会社。

明日香が、所属する会社だった。

ビルの一室。

海外事業部に、明日香はいた。

「残念だけど…くわしいことは、わからないね」

海外事業部課長、井上は世界中から送られてくるFAXに目を通しながら、こたえた。

「確かにネットでは、話題になっているみたいだけど…メジャー会社とは、まだ契約していないみたいだし…」

「そうですか…」

明日香は、肩を落とした。

隣には、和恵がいる。

「最近は…向こうの話題は、うちらレコード会社より、ネットやファンの方が詳しいよ。こっちに送られるより、情報早いしさ…」

「わかりました…お手数をおかけしました」

頭を下げる明日香に、慌てて井上は、席を立った。

「やめてください!所属アーティストに頭下げられるなんて…それも速水さんに!上に怒られます」

井上は、頭をかき、

「何か入りましたら…すぐに知らせますんで…」

「お願いします」

また頭を下げると、明日香は去ろうとする。


慌てて、井上は止めた。

「ま、待って下さい」


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