黄昏に香る音色 2
直樹は首を捻り、

「もしかしたら…如月さんは、部室にいったかも…」

「どうして、里緒菜だけ」

香里奈は、直樹に詰め寄った。

「今回の脚本は、如月さんが書いたので…昨日、やり直したいところがあるって、言ってたから」

「そうなんだ…」

直樹の言葉に、香里奈は納得した。

最近、里緒菜とまったく話していない。

いろいろ話したいのに…。

少し黙り込む香里奈と、それを見守る直樹。


二人の様子を、じっと見ていた恵美と祥子は、

顔を見合わせると、

「香里奈…あたしたちいくな」

「じゃあ、またね。香里奈ちゃん」

手を振り、離れていく二人。

「え…ま、待ってよ」

残された香里奈と、

直樹。

気をつかわれたのだろうけど、

笑顔の直樹を見て、香里奈はまた、ため息をついた。
< 111 / 539 >

この作品をシェア

pagetop