黄昏に香る音色 2
駅をこえ、タブルケイに向かう坂道に着く。

肩で激しく息をする二人。

「公園で休もう」

直樹の提案に頷く。




公園のベンチに、座り込む香里奈。

直樹はさすが男の子。

まだ余裕がある。

少し息を整えて、

「いきなり、走り出すからだよ」

香里奈は、やっと息が整ったみたいで、直樹を見た。

「みんないるんだもん…恥ずかしい…」

直樹は微笑むと、

「ジュースでも買ってくるよ」

ベンチに座り込む香里奈を残し、

公園の外の自動販売機に、買いに行こうとした。

直樹の足が止まった。

前方から、妙な気を感じた。

公園の入り口に立つ、

黒すぐめの3人。

右端は女…。

あとは男だ。

3人は、近付いてくる。


動かない直樹に気づき、

香里奈は顔を上げた。

「どうしたの…」

直樹は、前を見据えたまま、

「速水さん…動かないで」

直樹は少し構えた。

気のせいではない。

3人は、こちらに向かってくる。

周りに誰もいない。

「速水さん、逃げて」

「え?」

直樹は拳を握りしめた。


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