黄昏に香る音色 2
3人は、少し広がった。

直樹は舌打ちした。

別々に動かれたら、まずい。

直樹は、香里奈のそばまで下がり、

3人と距離を取りながら、

香里奈を逃がすことに決めた。


3人の足が止まった。

「香里奈様ですね…」

女だけ一歩、前に出た。

「お迎えに参りました」

女は、深々と頭を下げた。

「KKが、あなたを必要としています」

「KK…」

香里奈は、いきなり名前を呼ばれ、驚き、

さらに迎えにきたで、訳がわからなくなった。

「誰よ。あんたたち!」

直樹を押しのけて、詰め寄ろうとする香里奈を、直樹は何とか止める。

辺りはもう、日が暮れてきた。

黄昏だ。

女は言う。

「あなたに、否定する権利はない」

「何だとお!」

怒る香里奈。

「落ち着いて」

なだめる直樹。

女は顎を上げ、

「捕まえろ。男はいらない」

二人が、襲いかかろうとした瞬間、

一人が、体を宙に浮かせて転んだ。

誰かに、足を払われたのだ。

「権利がないのは、あなた方よ」

いつのまにか3人の後ろに、立つ女。

「あ!」

香里奈が声を上げた。


< 116 / 539 >

この作品をシェア

pagetop