黄昏に香る音色 2
黒すぐめの女は、後ろを振り返った。

「お、お前は…」

もう一人の男が、後ろの女に、襲いかかるが、

すぐに転がされる。

合気道のようなものだった。

「世界中を旅するには、ある程度の護身術は、身に付けないとね」

黒すぐめの女は、わなわなと震え、

「速水明日香…なぜここに!」



「明日香!警察に通報したわ」

公園の入り口に、里美が現れた。

「どうする?」

微笑む明日香を、3人は見つめると、

「チッ」

舌打ちを残し、公園の左側の林の中へ消えていった。

明日香は、逃げていく3人の背中を見つめた。

「ママ!」

香里奈の声に、明日香は振り向いた。

夕陽に照らされ、輝いてる明日香向かって、香里奈は飛び込む。

「帰ってきてたの!知らなかった」

香里奈を抱きしめながら、

「ごめんね…驚かしちゃったわね。怪我はない?」

「うん」

香里奈は、明日香の胸の中で頷いた。

その様子を、ほっとして見つめる直樹。

明日香は直樹に気づき、微笑みかけた。

直樹は、慌てて頭を下げた。

夕陽が沈むまで、

香里奈は、明日香の胸の中にいた。


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