黄昏に香る音色 2
KKのサックスの音を、消し去る爆音を奏でながら、

大輔は思った。

(ほら…明日香さん…俺は、啓介さんの穴を埋められたんだ)

大輔はさらに、激しくギターを弾いた。

すると…体に何かが、巻き付いてきた。

「何だ!」

大輔は思わず、声に出した。

何かが体に絡みつく。

「うわあっ!」

他のメンバーも声を上げた。

大輔が、後ろのメンバーを見ようと、振り返った。

その時、

志乃のシャウトが、絶叫に変わった。

狂ったように、泣き始めた。

「志乃…」

弾きながら、志乃のもとに近づこうとした大輔は、

片膝をついた。



「始まった…」

ジャックとティアは、ステージの様子を見、呟いた。

「浸食が…」

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