黄昏に香る音色 2
堕ちた天使
志乃の心の奥から、染みでたもの…。

(お姉ちゃん…)

裸の百合子。

そして、だんだんと暗闇から姿を現す。


啓介。

二人は絡み合う。

百合子は志乃を見、フッと笑うと、

啓介とキッスをした。


(いやーーーーーっ!!!)

小さな子供となった志乃が、絶叫する。

いや…

お姉ちゃんとなんて…。

いや、

いや、

いや、いや、いや、いや、いや、いや、いや。

志乃涙を流しながら、

堕ちていく。

憎かった。

殺したかった。

お姉ちゃんを…。

あたしの愛する

男を奪った女。

あたしを選ばなかった…

男…。


みんな…

憎かった。




絡みつく…サックスの音が…

志乃の全身を包んだ時、

志乃の心は、秘めていた思いとともに、

堕ちていった。

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