黄昏に香る音色 2
真実の答え
久々に、明日香はダブルケイの店に出ていた。

バンドは今、雇っていない。
しかし、里美の人柄の良さで、店内は、お客でいっぱいになっていた。

活気はあった。

明日香は、カウンターに入る。

今日は、何年も前から、来ている常連さんも、顔をだしていた。

明日香の顔を見て、驚きの声を上げる。

「久々だね~明日香ちゃん」

「お久しぶりです。青木さん」

「名前、覚えてくれてたんだ」

お客の喜ぶ顔に、明日香は微笑み、

「だって…あたしが、ここに来る前から、いらっしゃってますから…」

「恵子ママの時代…からだもんなあ」

青木は、カウンターから振り返り、店内を見回し、

「客層も変わったしな…」

「そうですね…。あたしが知らない方も、多くなりました…」

明日香も店内を見、

「ですけど…それだけ、今のママが、頑張っていると、いうことなのでしょうけど」

「久々に、明日香ちゃんのトランペットが、聴きたいなあ…」

「今、バンドがいませんから…」

明日香は、店の奥のステージを見た。

ドラムセットなど、昔のままだ。手入れは整っている。

「俺さ…。明日香ちゃんの、初ステージ見たんだぜ」


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