黄昏に香る音色 2
「今日のことじゃないの?」

里美の言葉に、明日香は頷き、

「香里奈には、きちんと話をするわ」

二人の会話を聞いている三人。

「そう言えば…なぜ…ここに?それも、三人で…」

明日香の問いかけに、

テーブル席で、ビールを飲んでくつろいでいた三人は、グラスを置いた。

阿部はジャケットのポケットから、一枚の紙切れを取り出した。

「これを見てな」

それは、新聞の切れ端だった。

「俺たち…この記事を見て、気になってな…」

「ネットを検索したら、KKの文字が…」

阿部は立ち上がり、明日香の方を見た。

「明日香ちゃん…この記事のやつは、啓介なのか?」

明日香は阿部から、少し視線をそらす。

「啓介だと思います…確認はできていませんけど…」

「事故で死んだんじゃなかったのか…」

明日香は首を横に振り、

「遺体は見ていません」

「なんだって!?」

原田と武田が立ち上がる。

里美は腕を組んで、カウンターにもたれている。驚かず、ただ話を聞いている。

「交通事故で、アメリカの病院に運び込まれたらしいんですが…。その時、あたしもアメリカにいたんですけど…あたしはニューヨーク。彼はカリフォルニアでした…」
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