黄昏に香る音色 2
「あなたが小さい時に、何度か会ってるのよ」

幸子は、香里奈の顔を覗き込んだ。

「小さい頃は、明日香さんそっくりだと思ったけど…大きくなったら、お父さんに似てきたわね」

幸子は、同意を求めるように、ゆうの方を見た。

「目元なんて…啓介さん、そっくり」

一人頷くゆうに、香里奈は詰め寄る。

「父を知ってるんですか!?」

「そりゃあ~知ってるわよ。あたしが、尊敬する歌手の弟だから…」

「尊敬する歌手…?」

香里奈は、誰かわからなかった。

「和美おばさんのこと…言ってなかったかしら」

明日香が、香里奈にそばに近寄ってくる。

「ママ…」

明日香は、香里奈に微笑んだ。

「香里奈…大事な話があるの」

「大事な話?」

明日香は頷くと、

「少し外に出ましょう」

明日香と香里奈は、二人で店を出た。

和恵は、里美が相手をしていた。

明日香は出るときに、里美に目で合図を送っていた。




店を出て、明日香は山道を歩いていく。

香里奈は後を追う。

5分程登ると、

墓地があった。

そこに眠る人物。

それは、香里奈のお祖母ちゃん…

速水恵子の墓があった。


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