黄昏に香る音色 2
「あんたは…才能がある…。だから…あたしの敵になる…」

香里奈は、震えが止まらない。

「あたしの妹なら…音楽をやめて…」

香里奈には、意味がわからない。

「あんたのお父さん達が…」

志乃は泣いていた。

ずっと…

雨の中でも、わかるくらい。

「あたしのお姉ちゃんを、殺したの!」

志乃は、泣き叫ぶ。

「あたしは!絶対に、許さないから!」

香里奈は、パニックになる。

「いい…香里奈!絶対に、音楽をやらないで!」

雨が、激しさを増していく。

「あたしの敵に、ならないで!」

志乃はそう叫びと、

土砂降りの中、

走り去っていった。

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