黄昏に香る音色 2
「何だと!貴様!」

光太郎の剣幕を無視して、和也は言葉を続けた。

「会長と速水さん…いえ、速水明日香さんとの関係を調べさせて貰いました」

「何ぃ!」

「籍は、入れてらっしゃらないが…会長の娘さんですね」

光太郎の表情が変わる。

「公にはなっていませんが…家の者は、みんな知ってましたよ」

和也は姿勢を正すと、

深々と頭を下げ、

「親戚である香里奈さんを、落とす気にはなれません…すいません」

「き、貴様…」

「命令を、きけないからには…覚悟は決めてきました」

「覚悟だと」

「はい」

和也は、深々と頭を下げ、

「今まで、お世話になりました」

光太郎は鼻で笑い、

やがて、

爆笑した。

「何を言っている。お前たち親子は、この会社がほしいんだろ!お前たちの店を壊した、この会社が!」

今度は、和也が笑った。

「もう…いりませんよ」

「何!」

「本当は、最初から…いらなかったんです」

「本気で言ってるのか!」

「はい!」

和也は、はっきりと返事した。

「お前のモデルの仕事だって、私のコネがほとんどだぞ。そのすべてを、失うことになるぞ」

「覚悟の上です」

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