黄昏に香る音色 2
玄関で、泣いている香里奈を見つけたのは…

ライブが終わった直後の、里美だった。

汗を拭こうと、ステージ裏に、他のメンバーと、扉を開けると、

香里奈の泣き声に、気づいた。

急いでそばに、駆け寄ると、香里奈は、泣き叫びながら、里美に、すがりついてた。

「志乃ちゃんが…志乃ちゃんが…パパ達が…殺したって…」

その言葉を聞き、里美は慌てて、香里奈と2人だけで、2階に上がった。





2階に上がった2人。

「志乃ちゃんの、お姉ちゃんを、殺したって…」

里美は、香里奈の涙を、拭いながら…

「志乃ちゃんが、来たのね…」


天城百合子…。

志乃の姉…。

そう百合子は…。

「あれは…事故だったのよ」

里美は、香里奈を抱き締め、

「香里奈のパパやママが、そんなこと…する訳ないでしょ…すると思う?」

香里奈は、首を横に振った。

「そうよ!明日香達が、そんなことするはずないわ」

里美は、香里奈の頭を撫で、

「志乃ちゃんのお姉ちゃんは、事故で、亡くなったの…かわいそうに…」

里美は、香里奈の頬に手を添えた。

「誰かに、殺されたわけじゃないから…心配しないで…」

里美の言葉と、やさしさに、香里奈はやっと、泣き止んだ。

里美は、微笑みかけ、またぎゅっと抱き締めた。

「大丈夫だからね」

香里奈は、深く頷いて、里美を、抱き締め返した。
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