黄昏に香る音色 2
静かで、やさしい時は終わった…。

気づいた時は、音楽は終わり、

時は過ぎていた。

もうこんな時間。

香里奈は座り込んでいたソファから、立ち上がり、

制服を着替えようと、タンスを開けた。

普段使っていない為、香里奈の服はない。

あるのは、恵子と明日香の服だけだ。

明日香の昔のジーンズをはこうとした…

キチキチだ…。

「ママ…細すぎ…」

Tシャツは…

大丈夫だ。

香里奈はもう一度、CDをかけた。

恵子の歌が流れる。

ごはんは、亜希子が用意してくれていた。

香里奈は、味噌汁を温めながら、恵子の歌に合わせて、鼻歌を歌う。

愛や恋は、はっきりとはわからない。

でも、

歌声から、うれしさや悲しさや、切なさを感じることができた。

淡い気持ちだ。

英語の為、はっきりと歌詞はわからないが…

気持ちはわかった。

そう言えば、

里美おばさんが言ってた。

歌詞をそのまま伝えるより、言葉に込める気持ちが一番大切だと。

みんなが、歌詞カードを持ってるわけではない。

歌手は、気持ちを伝えなければならない。

歌詞の内容よりも。


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