黄昏に香る音色 2
香里奈が、ごはんを食べ終わった瞬間、家の電話が鳴った。

驚き、

ためらう。

(誰?)

里美なら、携帯にかけるはずだ。

亜希子おばさん…。

亜希子は、携帯を知らない。

恐る恐る受話器を取った。


「はい」

受話器の向こうで、

クスクスと笑い声が聞こえた。

「どちらさまで…」

「あなた…香里奈さんね」

受話器越しでも、声の相手がにやりと笑っているのが、わかった。

女の人だ…。

でも、話し方はきれいだが、

どこか…日本人とは違う。

香里奈は直感的に、そう感じた。


「はじめまして。私はあなたのお父さんのマネージャーをしている者よ」

ティアは、笑みがはなれなかった。

「どうして…ここの番号が…」

「あら。お父さんの家でしょ…知ってるわよ」

「な、何の用ですか!」

思わず、声が上ずる香里奈。

ティアはまたクスクス笑うと、

「お父さんからの伝言よ。明日の夕方、イエローホールで、コンサートがあるから、来てほしい…とのことよ」

「あ、明日!何、勝手なことを言ってるんですか!」

「お父さんに会いたくないの?じゃあ、待ってるからね」




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